多発する内水氾濫。トイレの逆流浸水に注意
2023年06月30日
近年、短時間に集中して降る豪雨災害が日本各地で発生しています。以前はあまり耳にしなかった「線状降水帯」という言葉も、最近はよく聞くようになりました。
水害は他人事ではありません。
「近所に川がないから大丈夫」
「マンションだから大丈夫」
そう思っている方も多いですが、決してそんなことはありません。
浸水被害は命にかかわることだけではなく、住宅の資産価値を下げてしまう恐れもあります。適切な行動をとり、被害を最小限に抑えるためにも、自分の住むエリアや住宅のリスクを事前に知っておきましょう。
内水氾濫
内水氾濫とは、大雨に対して下水道などの排水機能が追いつかず、処理しきれない雨水が溢れ浸水する現象です。特に市街地などで発生する傾向にあります。
「浸水」と聞くと、玄関や掃き出し窓から家の中に汚水が入ってくるイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、汚水の侵入口はそれだけではありません。たとえばトイレやお風呂などから逆流してくることがあります。
またマンションなどでは、地下に電気設備を設けていることも多く、地下に浸水したために停電や断水が続くことも。
今自分が住んでいる住居や、いずれ住みたいと考えている住居で、自分が取るべき行動をしっかりシミュレーションしておきましょう。
逆流浸水対策
排水処理が追いつかず、家庭内の風呂場やトイレ、洗濯機などの排水溝から下水が逆流してくる逆流浸水。大雨が降りだしたら、いち早く行動をすることが大切です。
そのためにも、まずは知識をつけておきましょう。
逆流浸水時はトイレ使用不可。簡易トイレの準備を
先述のとおり、内水氾濫は下水道などの排水機能が追いついていない状態です。
下水道が満タンなのに、マンションの上階からどんどん汚水を流せば、マンション内の排水管に汚水が溜まっていきます。あまり想像したくありませんが、上階で流した汚水は、下層階のトイレから溢れ始めます。もし下層階で逆流対策をしていた場合、別のどこかの階層から溢れ出すこともあり得ます。
高層住宅ではこうした被害が起こる可能性があること、周知しておくことが重要です。大雨のときのトイレの防災と備えは、全家庭に必要。
つまり内水氾濫が起きている際は、トイレは使用不可。簡易トイレなどの準備をしておきましょう。
特に下層階の住居は水嚢(すいのう)を設置
逆流浸水は、トイレをはじめ、お風呂や洗濯機などの排水溝から逆流しますので、この場所からの逆流を防ぐ必要があります。
自分の住むエリアで内水氾濫が起きてしまったら、特に1階住居は水嚢を設置しましょう。
1階以外で逆流することも考えられます。トイレなどから「ポコポコ」と音がしていたら、水嚢の設置をおすすめします。
水嚢とは土嚢の水バージョン。ビニール袋に水を入れて簡単につくることが可能です。いざという時のために、つくり方や設置場所を覚えておきましょう。
水嚢のつくり方
1、45リットルほどのビニール袋を2重にする
2、水を3分の1から半分ぐらいまで入れる
3、空気を抜きながら口をきつく縛る
水嚢の置き場所
・トイレの便器の中※
・お風呂の排水口
・バスタブの中の穴
・洗面台の排水口
・キッチンの排水口
・洗濯機の排水口
※トイレの便器の中に入れる際は、直接入れると奥まで入ってしまう恐れがあるため、必ず次の方法で設置してください。
便器内へ水嚢を入れる方法
・便座を上げる
・便器に45リットルのビニール袋をかぶせる(水嚢とは別の袋)
・便座を下げる
・水嚢をトイレの中に入れる
まとめ
ゲリラ豪雨や線状降水帯など、年々大雨の被害が甚大になっています。下水道や水路などから雨水が溢れ出す内水氾濫は、地面がコンクリートで覆われた都市部で起こりやすく、これまで何の被害もなかったエリアでも、今後大きな被害に遭う可能性は否定できません。
自分の住むエリアや住宅のリスクを事前に知っておくことで、適切な行動が取れ、被害を最小限に抑えることができます。
どの程度の雨になったら避難するのか、自宅にいる際はどのような対処をするべきなのか、そのためには平時に何を準備しておくべきなのか、今一度考えておきましょう。