意外と知らない「火災保険」の水災補償
2023年07月15日
線状降水帯やゲリラ豪雨など、近年頻発する大雨による災害。前回のブログでは、内水氾濫への備え、自宅の逆流浸水の対処法などを紹介しました。
今回のブログのテーマは、「火災保険」について。
台風や集中豪雨による損害「水災」は火災保険の補償範囲ですが、すべて保険会社の火災保険で水災が補償されているわけではありません。また火災保険が適用されない規模の水災もあります。
もしもの時に困らないよう、しっかり自分の加入している火災保険の補償内容を確認しておきましょう。今回は「水災」に着目しながら火災保険を説明します。
火災保険とは
火災保険とは、火災をはじめ、落雷や風水害などによって生じた損害を補償する保険です。補償の対象となる災害や事故は、保険会社によって異なります。
戸建てやマンション、賃貸住宅などどんな住まいも加入可能。
法律で加入が義務付けられているわけではありませんが、住宅ローンを組んだり賃貸住宅を借りたりする場合、加入が必須条件になっていることも少なくありません。
火災保険の補償内容
先述のとおり、火災保険の補償内容は、保険会社によって異なります。
「火災」以外の補償は外すことができる保険会社も多く、自分でカスタマイズが可能。
たとえばハザードマップなどを見て、水災リスクの高いエリアにお住まいの方は、水災が補償される火災保険に入るべきでしょう。一方で2階以上の住戸であれば水災補償は不要です。
補償範囲を限定することで、保険料を抑えることができます。日常に潜むたくさんのリスクを想定しながら、自分に合った補償を選択しましょう。
一般的な火災保険は、次のような災害や事故が補償の対象です。
・火災(失火やもらい火による火災の損害)
・水災(台風や集中豪雨による損害)
・落雷(落雷による損害)
・風災・雪災・ひょう災(風・雹・雪などによる損害)
・破裂・爆発(破裂や爆発による損害)
・盗難(盗難にともなう、盗取・損傷・汚損による損害)
・物体の落下・飛来・衝突(建物外部からの物体による損害)
・水ぬれ(漏水などによる水濡れの損害)
・不測かつ突発的な事故(事前に予測不可能な事故による損害)
火災保険の対象
火災保険の補償が適用される対象は3通り。
・建物のみ
・家財のみ
・建物+家財
「建物」とは、建物本体やそれに付属する門・塀・物置・車庫、そして浴槽や調理台、畳やエアコンなど”動かせない財産”を指します。
「家財」は、家具・テレビ・冷蔵庫・衣類・学用品、食器、調理器具など、一般的に”引っ越し時に運び出すもの”です。
たとえば「建物のみ」の火災保険加入者の自宅が全焼してしまった場合、建物分だけの保険金で建物と家財を揃えなくてはなりません。もちろん水災等も同様です。
水災補償の支払基準
水災補償は、台風、暴風雨、豪雨などによる洪水をはじめ、融雪洪水や高潮、土砂崩れ、落石などによって損害を受けた場合に受けられます。
水災補償には一般的に支払基準が設けられており、支払基準に満たない場合は保険金は支払われないため、注意が必要です。
水災補償の支払基準
・床上浸水
・地盤面から45cmを超える浸水
・建物(家財)の保険価額に対して30%以上の損害を受けた場合
集中豪雨などにより浸水被害に遭った場合、床下浸水であっても少なからず住宅へのダメージがあります。浸水した床下の洗浄や乾燥、消毒なども必要です。
しかし水災補償の支払い基準は床上浸水、もしくは床下であっても地盤面から45cmを超える浸水である必要があります。
もし被害を受けてしまったら、どんな浸水であっても、片付ける前に被害状況を写真に残しておきましょう。
地震は地震保険
火災保険は、さまざまな自然災害による損害を補償できる保険です。
しかし、地震による損害は補償されません。地震が原因で起こった火災も補償対象外。
地震による損害を補償するには、「地震保険」への加入が必要です。
ちなみに、大雨によって引き起こされた土砂災害は「火災保険」の対象ですが、地震によって引き起こされた土砂災害は「地震保険」の対象となります。
まとめ
近年頻発する自然災害。先日損害保険料率算出機構が発表した「参考純率」は、全国平均13%の引き上げ。これにより火災保険の保険料が大幅に値上がりする見通しです。
火災保険に加入している人は多いと思いますが、どんな補償内容かを説明できる人は少ないかもしれません。火災保険とは、火災をはじめ、落雷や風水害などによって生じた損害を補償する保険です。補償の対象となる災害や事故は、保険会社によって異なります。
自分の保険でどんな被害をカバーできるのか、このブログを見て今一度確認してみましょう。