中小企業の2つの会計基準ルールを紹介

2024年07月15日

日本における中小企業の割合は、全企業の99%以上。

 

経理人材の不足が叫ばれる昨今、会計ルールへの不安を抱えながら会計処理を行っている中小企業も少なくありません。

 

今回は中小企業の2つの会計ルールについて、その特徴を交えながら解説していきます。

rule1

主要な会計基準

現在、中小企業向けの会計基準として公表されている会計ルールは以下の2つです。

  • 中小企業の会計に関する指針(以下、中小会計指針)

  • 中小会計要領

中小会計指針と中小会計要領の比較

会計ルールには「中小会計指針」と「中小会計要領」の2つがありますが、多くの中小企業にとって「中小会計要領」の方が適用しやすいでしょう。

 

しかし将来的に大企業を目指すのであれば、「中小会計指針」を導入してもいいかもしれません。

 

ここからは「中小会計指針」と「中小会計要領」を比較していきましょう。

成り立ちと作成経緯

中小会計指針
 策定年:2005年
 作成主体:日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所、企業会計基準委員会
 目的:中小企業が適切な財務情報を記録・報告するための基本的な枠組みを提供

 

中小会計要領
 策定年:2012年
 作成主体:中小企業庁
 目的:中小企業が簡便かつ適切に会計処理を行うためのルールを提供

利用対象

中小会計指針
 小規模取引や資産の少ない企業、非上場企業
 規模が大きく複雑な取引が多い中小企業にも対応可能

 

中小会計要領
 非上場企業、経理人員の少ない企業、開示範囲が限定的な企業
 高度な会計処理が必要ない企業に適している

主な特徴

中小会計指針
 簡素化:簡潔で理解しやすいルール
 適用範囲:小規模な取引や資産の少ない企業
 柔軟性:企業の特性に応じた柔軟な対応が可能

 

中小会計要領
 簡便さ:シンプルで実用的な会計ルール
 実態に即した対応:中小企業の特性や実態に応じた柔軟な対応が可能
 普及と活用:中小企業庁と関係団体による普及活動

会計ルール

中小会計指針
 財務報告の透明性と正確性を重視
 詳細なガイドラインと柔軟な対応が可能

 

中小会計要領
 簡便で理解しやすい会計処理
 経理リソースが限られている企業でも容易に適用可能

rule2

中小会計要領の会計ルール詳細

先述のとおり、多くの中小企業にとって適用しやすい会計ルールは「中小会計要領」です。

 

ここからは中小会計要領の会計ルールの14項目を紹介します。

 

・収益、費用の基本的な会計処理
・資産、負債の基本的な会計処理
・金銭債権及び金銭債務
・貸倒損失、貸倒引当金
・有価証券
・棚卸資産
・経過勘定項目
・固定資産
・繰延資産
・リース取引
・引当金
・外貨建取引等
・純資産
・決算書注記

 

中小企業は中小会計要領に沿った会計処理を行うことで、決算書の信頼性と透明性が向上し、対外的な信用が増して資金調達が有利になります。

 

助成金や優遇措置も受けやすくなる可能性も高まるでしょう。

 

自社の経営状況を把握し課題や問題を明確化することで、経営力の強化も期待できます。

まとめ

適切な計算書類を作成することは、企業の信頼性を高め、内部管理を強化するために重要です。

 

中小企業の会計ルールには「中小会計指針」と「中小会計要領」の2つがありますが、多くの中小企業にとって適しているのは「中小会計要領」でしょう。

 

中小会計要領については中小企業庁のポータルサイトに詳しく掲載されています。