墓じまいとは?売却可能?手続きなどを解説

2023年08月15日

このお盆休み、皆さんはお墓参りに行きましたか?今年は台風の影響もあり、帰省自体をキャンセルしたという人も多いかもしれませんね。

 

近年、過疎化や少子化などの影響もあり、継承する方がおらず、手入れされていない無縁墓を見かけることも多くなりました。

 

最近よく耳にするようになった「墓じまい」という言葉。墓じまいとは、墓石を撤去し更地にして使用権を返還、そして取り出したご遺骨を別の形で供養すること。

 

さまざまな理由により墓じまいを検討している人が増えているといいます。

 

仮に墓じまいをする場合、どのような手続きを取ればよいのでしょうか?またお墓の土地は売却することができるのでしょうか?

 

今回のブログでは、ご家族ご親戚が集まるこの時期だからこそ、代々受け継いできた『お墓』について考えたいと思います。

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墓じまいとは

墓じまいとは、お墓を解体し撤去。更地にしてから墓地の管理者に使用権を返還することをいいます。

 

取り出されたご遺骨は別の形で供養。ほかの墓地に移転したり、永代供養墓地に改葬したりするのが一般的です。

 

これら一連の流れを「墓じまい」と考えます。

墓じまいを検討する人が増えている理由

墓じまいを検討している人が増えているという現代。その理由はさまざまですが、たとえば以下のようなことがあるでしょう。

 

・お墓を承継できる人がいない
・高齢でお墓参りができない
・子どもに負担をかけたくない
・遠方にあるお墓を守るのが難しい
・お墓に対する価値観の変化

 

先祖代々受け継いできたお墓が、いずれ無縁墓になるかもしれないという不安感から、「元気なうちに自分の手でお墓を閉じたい」という人が増えているようです。

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墓じまいの一般的な進め方

墓じまいを決断した場合、具体的にどのように進めていけばよいのでしょうか。

 

法律上、お墓に納められているご遺骨を勝手に取り出したり、お墓を廃棄したりすることはできません。必ず行政手続きが必要です。

 

ここからは一般的な進め方を解説します。

1、親族間でしっかり話し合う

墓じまいをするにあたり、最初にすべきことであり、最も重要ともいえるのが、事前にしっかり話し合うことです。

 

トラブルを避けるためにも、関係する親族全員と話をして同意を得ることが必要でしょう。

 

決定した内容をしっかり記しておくことで、後々トラブルを回避することができます。

2、管理者に墓じまいの旨を連絡する

親族間で墓じまいをすることが決定したら、お墓の管理者である霊園や寺院にその意思を伝え「埋葬証明書」を発行してもらいます。この証明書がなければ、市町村から「改葬許可証」を発行してもらえません。

 

なお墓じまいに伴い、「離壇料」という檀家を離れる費用が発生することがあります。離檀料の支払い義務はありませんが、今までお世話になったお礼の気持ちとしてお渡しするのが慣例です。時には法外な離檀料が提示されたなど、寺院とのトラブルが発生するケースもあります。

 

墓じまいの旨を連絡する際は、これまでの感謝の気持ちを伝え、離檀に至る事情などを丁寧に伝えることが大切です。

3、新しい納骨先を決める

墓じまい後のご遺骨を勝手に廃棄することはできないため、その後どのように供養するかを考えなければなりません。

 

新しい納骨先は「永代供養墓」「納骨堂」「樹木葬」などがありますが、永代供養墓が人気です。永代供養とは、供養料を一度に支払うことで、寺院などでご遺骨を預かり永代にわたって供養してもらえることです。

 

受け入れ先が決まったら、改葬許可証の申請に必要な「受入証明書」を発行してもらいましょう。

4、行政手続きを行う

お墓の管理者から発行された「埋葬証明書」と、改葬先から発行された「受入証明書」、現在のお墓がある市区町村から取り寄せた「改葬許可申請書」の3点が揃ったら、現在のお墓がある市区町村に提出し、「改葬許可証」を受け取ります。

 

交付された改葬許可書は、新しいお墓に納骨する際に必要な書類となるため、大切に保管してください。

 

なお交付までに1週間ほどかかることもあるため、ゆとりを持って日程を組みましょう。

5、墓じまいの依頼先を決める

お墓を解体・撤去・更地にする作業を個人ですることも可能ですが、かなりの力仕事になるため、石材店や専門業者に依頼するのがおすすめです。

 

必ず複数の業者から見積もりを取り、比較検討しましょう。霊園によっては依頼できる業者が決まっていることもありますので、事前の確認を。

6、閉眼供養を行う

墓じまいをするときには、必ず「閉眼供養」を行わなければなりません。地域によって「魂抜き」や「お性根抜き」などと呼ばれる場合もあります。浄土真宗のみ、魂を入れる・抜くという概念が無いことから閉眼供養を行いません。

 

閉眼供養を依頼したご住職にはお布施をお渡しするのが通例です。

 

法要が済んだら、ご遺骨を取り出して墓石の解体・撤去となります。

7、更地にして管理者に返還

ご遺骨の取り出しが完了したら、お墓を解体し墓石を撤去します。

 

墓石だけでなくお墓の基礎(土台)も解体し、更地に戻してから墓地管理者に返還し、墓じまいは完了です。

 

なお一般的に「お墓を買う」ということは、その場所を永代に渡って使用できる権利「永代使用権」を購入することです。墓地がある土地そのものを購入することではないため、お墓の土地は売却することはできません。

 

墓じまいは管理者に使用権を”返還”すること。永代使用料も返却対象にはなりません。

墓じまいにかかる費用

墓じまいにかかる主な費用は、閉眼供養のお布施、離壇料、墓石の解体や撤去費用、移転先の墓地での納骨と法要費、書類の取得手数料などです。

 

お墓の撤去は、1平米あたり10万円程度が相場。形状などによって追加料金が発生する場合もあります。

 

閉眼供養のお布施は、3~5万円程度が相場とされていますが決まった額はありません。

 

離檀料は、過去に檀家としてお付き合いをしてきた年数や関係性によって金額は異なりますが、10万~20万円程度が相場といわれています。高額な請求を受けた場合は、しかるべきところに相談しましょう。

 

そして新しい納骨先への納骨や法要をします。遺骨の受け入れ先への費用は、供養の仕方によって大きく異なります。数万円~100万円前後と相場の幅も広いですが、今後の供養やお参りのことを考えて選びましょう。

 

墓じまいには多くの手続きや多額の費用がかかります。あらかじめしっかりと調べ、家族や親族の了承を得ておきましょう。

まとめ

今回は墓じまいについて解説しました。家族や親族が集まるこの時期に、話題にしてみるのもいいでしょう。

 

墓を受け継ぐにしろ、墓じまいをするにしろ、多くの費用や労力がかかります。

 

自分たちの住まいを決める際、『お墓』のことまで考える人は少ないと思いますが、自分や子どもの将来に関わる大切なことです。住まい選びと併せて、お墓のことも考えたいものですね。